作ったきりで何年もメンテナンスしていないサイトはありませんか?
忙しさを理由に、更新を後回しにしている企業は少なくありません。
しかし、ホームページを放置することは、企業に様々な悪影響をもたらします。
古い情報のままでは、新規顧客を遠ざけ、信用を失い、セキュリティリスクも高まります。
この記事では、10年以上web制作に携わってきた経験から、ホームページを放置するリスクと対策について詳しく解説していきます。
ホームページを放置する深刻なリスクとは?
ホームページを放置すると、ビジネスに悪影響を及ぼす5つの深刻なリスクが発生します。
多くの経営者は「更新する時間がない」「特に問題は起きていない」と考えがちですが、実際には見えないところで大きな損失が発生しています。検索順位の低下、信用の失墜、セキュリティの脆弱性、機会損失の拡大、競合への顧客流出など、放置することで徐々にビジネスが蝕まれていきます。実際、1年以上更新されていないホームページは、アクセス数が平均で40%以上減少し、問い合わせ数も3割近く落ち込むというデータもあります。さらに、放置期間が長くなるほど回復に時間とコストがかかるため、早期の対策が重要です。
具体的には以下の5つです。
- 検索順位の低下:Googleから評価されず新規顧客に見つけてもらえない
- 企業信用の失墜:古い情報で「営業しているのか」と疑われる
- セキュリティリスクの増大:ハッキングや情報漏洩の危険性が高まる
- ビジネス機会の損失:問い合わせや売上のチャンスを逃し続ける
- 競合他社への顧客流出:更新されているサイトに顧客を奪われる
このように、ホームページを放置することで様々なリスクが発生し、ビジネスに深刻な影響を与えます。
ではまずは、検索順位の低下について詳しく見ていきたいと思います。
検索エンジンからの評価が下がり新規顧客を失う
ホームページを放置すると、検索エンジンからの評価が着実に下がり、新規顧客を獲得できなくなります。
Googleが重視する「フレッシュネス」
Googleのアルゴリズムは「フレッシュネス(新鮮さ)」を重要な評価基準としています。定期的に更新され、最新の情報を提供しているサイトを高く評価し、検索結果の上位に表示します。逆に、何ヶ月も何年も更新されていないサイトは「古い情報しかない」「管理されていない」と判断され、徐々にランキングが下がっていきます。
特に、ブログやお知らせの最終更新日が数年前で止まっていると、「このサイトは活動していない」とみなされます。実際、SEOの専門家によると、3ヶ月以上更新がないサイトは検索順位が下がり始め、半年を超えると顕著に順位が落ちるというデータがあります。1年以上放置されたサイトは、同じキーワードで競合他社に大きく差をつけられ、検索結果の2ページ目、3ページ目へと転落していきます。
技術的な陳腐化によるペナルティ
さらに深刻なのは、技術的な陳腐化です。Googleは2021年から「Core Web Vitals(コアウェブバイタル)」という新しい評価基準を導入し、ページの表示速度やモバイル対応度を重視するようになりました。古い技術で作られたサイトは、これらの基準を満たせず、ランキングで不利になります。
また、HTTPSへの対応、構造化データのマークアップ、AMPページの実装など、SEOのトレンドは常に変化しており、放置されたサイトはこれらの最新技術に対応できていません。内部リンクの整理も重要で、放置されたサイトではリンク切れや404エラーが増えていき、ユーザー体験が悪化します。Googleのクローラーがリンク切れを発見すると、「管理が行き届いていないサイト」と判断し、評価を下げます。
さらに、競合他社が積極的にコンテンツマーケティングを展開している場合、差は開く一方です。彼らが毎週有益な記事を投稿し、顧客の疑問に答え、専門知識を披露している間に、放置されたサイトは何も発信していません。検索エンジンは「どちらのサイトがユーザーにとって価値があるか」を常に評価しており、更新されているサイトを優先します。
「地域名+業種」で検索した時に、以前は1ページ目に表示されていたのに、今では3ページ目以降に落ち、実質的に誰にも見られない状態になってしまうのです。新規顧客の約8割は検索エンジン経由で情報を探すため、検索順位の低下は直接的な売上減少に直結します。月に100件あった問い合わせが、半年後には20件、1年後には数件という状況も珍しくありません。
検索順位の低下を防ぐには、定期的な更新が不可欠です。最低でも月に1〜2回、できれば週に1回は新しいコンテンツを追加することをおすすめします。ブログ記事、お知らせ、事例紹介、よくある質問など、形式は問いません。重要なのは「このサイトは活発に運営されている」というシグナルをGoogleに送り続けることです。また、既存ページの情報更新も効果的で、古い料金表を最新版に差し替える、サービス内容を充実させる、画像を新しくするだけでも、検索エンジンは「更新された」と認識します。
検索順位の低下を放置すると、新規顧客を獲得できず、ビジネスの成長が止まってしまいます。
次に、企業信用の失墜というリスクについて解説します。
古い情報が企業の信頼を大きく損なう
ホームページを放置すると、古い情報が残り続け、企業の信頼を大きく損なってしまいます。
訪問者がサイトを見て最初に確認するのは、情報の鮮度です。お知らせ欄の最新記事が「2020年の年末年始休業のお知らせ」、ブログの最終更新が3年前、スタッフ紹介に退職した社員の写真が残っている、終了したキャンペーンの告知が消されていない、こうした状況を見た訪問者は「この会社は今も営業しているのか?」という根本的な疑問を抱きます。
特に、新型コロナウイルス関連のお知らせが2020年のまま放置されているケースは非常に多く、「時が止まっている会社」という印象を与えてしまいます。電話番号や住所が変更されているのにサイトが古いままだと、顧客は連絡すら取れません。料金表が何年も前のもので、実際の価格と異なっていれば、トラブルの原因にもなります。
BtoBビジネスでの致命的な影響
さらに深刻なのは、取引先や求職者からの信用失墜です。BtoBビジネスでは、取引を検討する企業が必ず相手のホームページをチェックします。その時、何年も更新されていないサイトを見たら「経営が傾いているのではないか」「廃業寸前ではないか」「管理能力が低い会社だ」と判断されてしまいます。
実際、ある調査では約6割の企業担当者が「更新されていないサイトの企業とは取引を避ける」と回答しています。新規取引先を開拓しようとしても、サイトが足を引っ張り、商談の機会すら得られないのです。また、求職者も同様で、就職活動中の学生や転職希望者は必ず企業サイトを確認します。古いままのサイトは「この会社の将来性は大丈夫か」という不安を与え、優秀な人材が応募を避ける原因になります。
競合他社と比較された時の差も歴然です。同じサービスを探している顧客が複数のサイトを見比べた際、一方は毎週新しい情報を発信し、施工事例も豊富で、スタッフブログで会社の雰囲気も伝わる。もう一方は何年も前から変わらず、情報も少なく、活気が感じられない。どちらを選ぶかは明白です。
特に専門サービスや高額商品の場合、顧客は慎重に比較検討するため、情報の充実度が決定的な差になります。さらに、SNSで拡散される時代において、「このサイト、情報が古すぎて怖い」という口コミが広がるリスクもあります。一度失った信用を取り戻すのは容易ではなく、長年かけて築いたブランドイメージが、放置されたサイトによって一瞬で崩れることもあるのです。
古い情報を放置すると企業の信用を大きく損ない、顧客や取引先から選ばれなくなります。
続いて、セキュリティリスクの増大について見ていきましょう。
セキュリティの脆弱性が企業を危険にさらす
ホームページを放置すると、セキュリティの脆弱性が放置され、企業全体を深刻な危険にさらします。
WordPressをはじめとするCMSは、セキュリティホールが発見されるたびにアップデートが提供されます。これらの更新を怠ると、既知の脆弱性を悪用した攻撃に対して無防備な状態になります。ハッカーは自動化されたツールを使って、世界中の脆弱なサイトを常にスキャンしており、古いバージョンのWordPressやプラグインを検出すると、即座に攻撃を仕掛けます。
実際、WordPressサイトへの攻撃の約90%は、古いバージョンや放置されたプラグインの脆弱性を狙ったものです。「うちは小さな会社だから狙われない」という考えは危険で、攻撃は企業の規模に関係なく自動的に行われます。放置されたサイトは、セキュリティ対策が甘い「穴だらけの家」のようなもので、侵入されるのは時間の問題です。
ハッキングされた場合の甚大な被害
ハッキングされた場合の被害は甚大です。サイトが改ざんされて、トップページが全く別のコンテンツに書き換えられたり、不正なリンクを大量に埋め込まれたりします。フィッシング詐欺サイトに転用されれば、自社のドメインが詐欺に使われ、信用は完全に失墜します。
さらに深刻なのは、サイト内に保存された顧客情報やメールアドレスの流出です。個人情報保護法違反となり、損害賠償請求や行政処分のリスクもあります。また、マルウェアを仕込まれて、サイトを訪問した人のパソコンやスマートフォンに感染させる「水飲み場攻撃」の踏み台にされることもあります。この場合、被害者から訴えられる可能性もあり、法的トラブルに発展しかねません。
Googleは危険なサイトを検出すると、検索結果に「このサイトはハッキングされている可能性があります」という警告を表示します。こうなると、誰もサイトを訪れなくなり、ビジネスは完全にストップします。警告を解除するには、マルウェアの完全除去、セキュリティホールの修正、Googleへの再審査リクエストなど、専門的な作業が必要で、復旧に数週間から数ヶ月かかることもあります。費用も数十万円から、規模によっては100万円以上かかるケースもあります。
さらに、一度ハッキングされたという事実は消えず、企業のイメージダウンは避けられません。「あの会社のサイトは危険だから気をつけて」という評判が広まれば、回復は非常に困難です。セキュリティを放置することのリスクは計り知れず、企業の存続すら脅かしかねません。
セキュリティを放置するとハッキングのリスクが高まり、企業に深刻な被害をもたらします。
次は、ビジネス機会の損失という問題について説明します。
日々の問い合わせと売上機会を失い続ける
ホームページを放置すると、毎日のように問い合わせや売上の機会を失い続けることになります。
更新されていないサイトは、訪問者に「ここに問い合わせて大丈夫だろうか」という不安を与えます。営業時間が古いままで「今は何時まで営業しているのか分からない」、取り扱い商品の情報が古くて「このサービスは今もやっているのか不明」、キャンペーンが終了しているのに掲載されたままで「申し込んでも受け付けてもらえるのか」、こうした疑問を持った訪問者は、問い合わせをためらいます。
「電話したら『そのサービスはもうやっていません』と言われたら恥ずかしい」「古い情報のままの会社は信用できない」と考え、他社のサイトへ移動してしまうのです。実際、問い合わせフォームに入力途中で離脱する人の約4割が「情報が古そうで不安だった」と回答しているデータもあります。
さらに、問い合わせフォーム自体に問題が起きているケースも少なくありません。プラグインの不具合で送信エラーが出る、スパムフィルターが強すぎて正常なメールをブロックしている、登録メールアドレスが使われなくなっていて受信できない、など、気づかないうちに機会を失っています。定期的にテスト送信して確認しなければ、顧客からの問い合わせが届いていない事実にすら気づきません。
「最近問い合わせが減った」と感じている場合、実はフォームが機能していない可能性もあるのです。また、電話番号の記載が古い、地図のリンクが切れている、営業時間が間違っているなど、基本情報の誤りも顧客を遠ざけます。
新サービスや季節商品の機会損失
新しいサービスや商品を追加しても、サイトに反映されていなければ存在しないのと同じです。実店舗では提供しているのにサイトには載っていない、価格改定したのに古い料金のまま、新しいスタッフが入ったのに紹介がない、こうした状況は顧客に誤った情報を与えます。
特に、季節商品やタイムリーなサービスの機会損失は大きいです。税理士事務所が確定申告シーズンに関連情報を発信しない、リフォーム会社が補助金制度の案内を出さない、飲食店が新メニューをアピールしない、こうした「今だからこそ」の情報を逃すことで、大きなビジネスチャンスを失います。
さらに、既存顧客との関係も希薄になります。定期的に有益な情報を発信していれば、「何かあったらあの会社に相談しよう」と思い出してもらえますが、放置されたサイトでは忘れられてしまいます。リピート率が下がり、顧客生涯価値も低下します。
毎日何十人、何百人がサイトを訪れているのに、その大半が何も行動せずに去っていくのは、非常にもったいないことです。1日10人が問い合わせを検討して諦めたとすれば、月300人、年間3,600人もの見込み客を失っていることになります。その中の1割でも成約すれば、年間360件の売上機会です。放置することの機会損失は、想像以上に大きいのです。
ホームページを放置すると、日々の問い合わせや売上の機会を失い続け、ビジネスの成長が止まります。
最後に、競合他社への顧客流出について解説します。
更新している競合に確実に顧客を奪われる
ホームページを放置すると、積極的に更新している競合他社に、着実に顧客を奪われ続けます。
現代の顧客は、複数の企業を比較検討してから決めるのが一般的です。その際、ホームページは重要な判断材料になります。一方は毎週ブログを更新し、最新の施工事例を紹介し、業界動向を解説し、スタッフの人柄も伝わる。もう一方は数年前から何も変わらず、情報も最小限で、活気が全く感じられない。この状況で、どちらが選ばれるかは火を見るより明らかです。
特に専門性が求められるBtoBビジネスでは、定期的な情報発信は「この会社は業界をリードしている」「最新の知識を持っている」「信頼できる」という印象を与えます。逆に、放置されたサイトは「時代に取り残されている」「勉強していない」「やる気がない」と思われ、選択肢から外されます。
また、SNSやWeb広告を活用している競合がいれば、差はさらに広がります。彼らはInstagramで日々の作業風景を投稿し、Facebookで顧客の声をシェアし、Google広告で確実に上位表示を獲得しています。一方、放置されたサイトはSEOでも不利になり、検索結果の下位に沈んでいきます。
顧客は検索結果の1ページ目、それも上位3〜5件しか見ない傾向があるため、下位に埋もれたサイトは存在しないのと同じです。たとえ表示されても、クリックされず、訪問すらされません。さらに、競合他社が充実したFAQページ、詳しいサービス説明、豊富な事例、分かりやすい料金表、お客様の声などを掲載している中で、自社サイトが簡素なままでは、情報量の差で完敗します。
価格競争と市場シェアの侵食
価格競争に巻き込まれるリスクも高まります。差別化できる情報がなければ、顧客は「安い方」を選ぶしかありません。本来なら、技術力やサービスの質、実績、アフターフォローなどで差別化できるはずが、それを伝える手段がないため、価格だけで比較されてしまうのです。結果として、利益率の低い案件しか取れず、疲弊していきます。
また、新規参入の競合も脅威です。彼らは最新のマーケティング手法を使い、洗練されたサイトで攻勢をかけてきます。老舗企業であっても、サイトが古ければ「昔の会社」というイメージを持たれ、新しく勢いのある企業に顧客を奪われます。
市場シェアは日々変動しており、放置している間に着実に侵食されています。気づいた時には大きく差をつけられ、挽回が困難な状況になっているかもしれません。ある調査では、同業他社が積極的にWeb施策を行っている中で自社だけが放置した場合、1年で市場シェアが10〜20%低下することもあると報告されています。失った顧客を取り戻すには、放置していた期間の何倍もの努力と投資が必要です。
放置されたホームページは、更新している競合他社に確実に顧客を奪われ続けます。


