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美容室の原価率は何%が目安?適正な原価率と下げる方法について

地域ビジネス

美容室を経営する上で毎月の材料費がどれくらいかかっているか把握していますか?

売上に対してどの程度の仕入れコストが発生しているのか、つまり原価率を正確に理解することは利益を出すための第一歩です。

しかし、多くのサロン経営者が原価率の適正値を知らないまま、なんとなく材料を使っているのが実情です。

原価率が高すぎれば利益が圧迫され、低すぎれば顧客満足度が下がる可能性もあります。

この記事では美容室における適正な原価率から、原価率が高くなる原因、そして具体的な改善方法まで詳しく解説します。

美容室の原価率は5〜10%が適正【結論】

美容室の原価率は5〜10%が適正とされており、この範囲内に収めることが健全な経営の目安となります。

原価率とは、売上に対する材料費の割合を指します。 例えば、月商100万円のサロンで材料費が8万円であれば、原価率は8%という計算です。

ただし、この数値はサロンの業態やメニュー構成によって変動します。 カット中心のサロンと、カラーやパーマを多く扱うサロンでは、必要な材料費が大きく異なるためです。

カット中心サロンの原価率

カットをメインにしているサロンの原価率は3〜5%程度と非常に低くなります。 カットに使う材料はシャンプー、トリートメント程度で、高額な消耗品がほとんど必要ないためです。

カット専門店やバーバースタイルのサロンでは、原価率が3%を下回ることも珍しくありません。 その分、技術力と回転率が勝負となり、スタッフの人件費率が高くなる傾向にあります。

原価率が低い分、粗利率が高いため、価格競争に巻き込まれても利益を確保しやすいのが特徴です。

カラー・パーマ中心サロンの原価率

カラーやパーマを中心に扱うサロンでは、原価率は7〜12%程度になることが一般的です。 カラー剤、パーマ液、トリートメント剤など、高額な材料を大量に使用するためです。

特にハイトーンカラーやデザインカラーを得意とするサロンでは、ブリーチ剤や特殊なカラー剤を使うため、原価率が10%を超えることもあります。 その場合は、メニュー価格を適切に設定し、原価の高さを反映させる必要があります。

また、トリートメントメニューを強化しているサロンも、高品質なトリートメント剤を使用するため原価率は高めになります。 ただし、トリートメントは客単価アップに直結するため、原価率が多少高くても利益額としては確保できます。

原価率と売上規模の関係

売上規模が大きいサロンほど、仕入れのボリュームディスカウントが効くため、原価率を下げやすくなります。 月商500万円のサロンと月商100万円のサロンでは、同じカラー剤でも仕入れ単価が異なることが多いのです。

複数店舗を展開しているサロンでは、本部でまとめて仕入れることで、原価率を5〜7%程度に抑えられることもあります。 規模の経済が働くため、大手サロンは価格競争でも有利な立場にあります。

一方、個人経営の小規模サロンでは、仕入れ量が少ないため原価率が高くなりがちです。 ただし、高品質な材料を使うことで技術力をアピールし、高単価メニューで勝負するという戦略も有効です。

美容室の原価率は5〜10%が適正ですが、メニュー構成や売上規模によって変動します。

では、そもそも美容室における原価とは何を指すのか、正確に理解しておきましょう。

美容室における原価の定義と計算方法

美容室の原価は主に材料費を指しますが、具体的にどこまでを含めるかを定義しておくことが重要です。

美容室の原価に含まれるもの

美容室の原価に含まれるのは、施術に直接使用する材料です。 具体的には、シャンプー、トリートメント、カラー剤、パーマ液、ブリーチ剤、ワックスなどのスタイリング剤が該当します。

また、タオルやクロス、カップ、ハケなどの消耗品も原価に含めることがあります。 これらは繰り返し使用するものですが、定期的な交換が必要なため、月次で使用した分を原価として計上します。

一方、電気代、水道代、家賃、人件費などは原価には含まれません。 これらは販売管理費や経費として別に計上します。

物販用のシャンプーやトリートメントの仕入れ原価は、売上原価として計算しますが、施術用の原価とは別に管理することが一般的です。 物販の粗利率は40〜60%と高いため、施術の原価と混同すると正確な分析ができなくなります。

原価率の正しい計算式

原価率は以下の式で計算します。

原価率(%)= 材料費 ÷ 売上高 × 100

例えば、月の売上が100万円で、材料費が8万円だった場合、原価率は8%となります。 この計算は毎月行い、推移を記録しておくことが重要です。

より詳細に管理する場合は、技術売上と物販売上を分けて計算します。 技術売上100万円に対して施術材料費8万円であれば、技術原価率は8%です。 物販売上20万円に対して仕入れ原価10万円であれば、物販原価率は50%となります。

この2つを分けて管理することで、どちらの収益性が高いか、どちらに力を入れるべきかが明確になります。

メニュー別の原価率を把握する重要性

サロン全体の原価率だけでなく、メニューごとの原価率を把握することも重要です。 カットの原価率は2〜3%、カラーは8〜15%、パーマは6〜10%というように、メニューによって大きく異なります。

メニュー別の原価率を知ることで、どのメニューが利益に貢献しているかが分かります。 例えば、カットは原価率が低く粗利率が高いため、カット客を増やすことが利益拡大につながります。

逆に、原価率の高いメニューは価格設定を見直す必要があるかもしれません。 デザインカラーで材料費が1,500円かかるのに、メニュー価格が8,000円では、原価率は約19%にもなります。 この場合、価格を10,000円に設定すれば原価率は15%に下がり、利益率が改善します。

メニュー別の原価を計算する際は、使用する材料の量を正確に測定することが必要です。 カラー剤何グラム、パーマ液何ミリリットルといった具体的な使用量を記録し、それに仕入れ単価をかけて原価を算出します。

美容室の原価は施術に直接使用する材料費を指し、メニュー別に正確に把握することが利益管理の基本となります。

次に、原価率が高くなってしまう原因について詳しく見ていきましょう。

美容室の原価率が高くなる4つの原因

原価率が高くなる主な原因は、材料の使いすぎ、仕入れ価格の問題、在庫管理の不備、価格設定のミスの4つです。

原価率が10%を超えている場合、どこかに無駄やロスが発生している可能性が高いです。

材料の使いすぎ・無駄遣い

最も多い原因が、スタッフによる材料の過剰使用です。 カラー剤を必要以上に調合してしまう、シャンプーを多く使いすぎる、トリートメントを規定量より多く塗布するといった行動が積み重なると、原価率は大きく上昇します。

特に経験の浅いスタッフは、材料が足りなくなることを恐れて多めに用意する傾向があります。 ショートヘアのカラーに必要な量と、ロングヘアに必要な量を理解していないと、常に多めに調合することになり、余った材料は廃棄されます。

また、カップに残ったカラー剤、使い切れなかったパーマ液なども無駄の一因です。 1回の施術で数百円の無駄でも、1ヶ月で数万円、1年で数十万円の損失となります。

技術力の不足も材料の無駄遣いにつながります。 カラーの塗布が不均一で塗り直しが必要になったり、パーマがかからずやり直しになれば、材料費は2倍かかります。

仕入れ価格が高い

同じカラー剤でも、仕入れ先によって価格は大きく異なります。 1つのディーラーとしか取引していない場合、相場より高い価格で仕入れている可能性があります。

長年同じディーラーから仕入れているため、価格交渉をしたことがないというサロンも少なくありません。 しかし、売上が増えたり、仕入れ量が増えたタイミングで交渉すれば、値引きしてもらえることもあります。

また、メーカーの直販サイトやオンラインの業務用卸サイトを利用すれば、ディーラーを通すより安く仕入れられることもあります。 ただし、配送料や最低注文数量などの条件があるため、トータルコストで比較する必要があります。

新製品や話題の商品だからといって、すぐに飛びつくのも危険です。 高価な材料を使えば原価率は上がりますから、それに見合った価格設定ができるかを検討してから導入すべきです。

在庫管理ができていない

在庫管理ができていないサロンでは、デッドストックが発生しやすくなります。 使用期限の切れたカラー剤、流行遅れのトリートメント、誰も使わなくなったパーマ液などが倉庫に眠っていませんか?

これらは購入した時点で原価として計上されているため、使わなければそれは純粋な損失です。 月商100万円のサロンで、5万円分のデッドストックがあれば、それだけで原価率が5%上がってしまいます。

また、在庫が多すぎることも問題です。 カラー剤を大量にストックしていると、使用期限内に使い切れずに廃棄することになります。 特に特殊カラーや季節限定カラーは回転が遅いため、最小限の在庫にとどめるべきです。

逆に在庫が少なすぎると、施術中に材料が足りなくなるリスクがあります。 適正在庫量を把握し、週に1回は在庫チェックを行い、なくなりそうなものを早めに発注する習慣をつけましょう。

メニュー価格設定のミス

原価率の高さは、材料費の問題だけでなく、価格設定のミスから生じることもあります。 材料費1,000円かかるメニューを5,000円で提供すれば原価率は20%ですが、8,000円で提供すれば12.5%に下がります。

競合店の価格を意識しすぎて、自店の原価を考慮せずに価格を設定すると、利益が出ない構造になってしまいます。 特に新メニューを導入する際は、材料費を正確に計算してから価格を決める必要があります。

また、割引キャンペーンを頻繁に行うことも、実質的な原価率を上げる要因となります。 通常8,000円のカラーメニューを6,000円で提供すれば、材料費が1,000円だとしても原価率は16.7%に跳ね上がります。

値引きをするなら、材料費のかからないカットメニューや、回転率を上げることで利益を確保できるメニューに限定すべきです。

美容室の原価率が高くなる原因は、材料の無駄遣い、仕入れ価格の高さ、在庫管理の不備、価格設定のミスにあります。

それでは、これらの問題を解決し、原価率を適正に保つ具体的な方法を見ていきましょう。

美容室の原価率を適正に保つ5つの方法

原価率を5〜10%の適正範囲に収めるには、日々の小さな改善の積み重ねが必要なので、すぐに実践できる5つの具体的な方法を紹介します。

材料の使用量を標準化する

まず取り組むべきは、メニューごとの材料使用量を標準化することです。 ショートのカラーにはカラー剤60g、ミディアムには80g、ロングには100gといった基準を設けます。

この基準をマニュアル化し、全スタッフに徹底させることで、スタッフによる使用量のばらつきをなくせます。 新人スタッフには特に丁寧に教育し、「足りなくなったら追加すればいい」という意識ではなく、「必要な量を正確に計量する」という意識を持たせます。

シャンプーやトリートメントも、ポンプの回数を決めるなど、定量化できるものは全て標準化しましょう。 ロングヘアのシャンプーはポンプ3回、トリートメントは2回といった具合です。

材料の計量には、デジタルスケールを活用すると正確です。 慣れてくれば目分量でもある程度正確に調合できますが、最初は必ず計量する習慣をつけることが大切です。

仕入れ先の見直しと交渉

年に1回は仕入れ先の見直しを行いましょう。 複数のディーラーから見積もりを取り、価格だけでなく、配送の早さ、支払い条件、サポート体制なども含めて総合的に比較します。

既存の仕入れ先とも、定期的に価格交渉を行うべきです。 「売上が増えたので仕入れ量も増えています。ボリュームディスカウントは適用できませんか?」といった交渉は十分可能です。

また、メーカーの正規代理店制度を利用することも検討しましょう。 一定量以上の仕入れを約束することで、特別価格が適用されたり、サンプル品がもらえたりすることがあります。

オンラインの業務用卸サイトも選択肢の一つですが、実物を見られない、サポートが受けられないといったデメリットもあります。 主要な材料は従来のディーラーから、補助的な材料はオンラインで、といった使い分けが賢明です。

仕入れ価格を5%下げることができれば、それは直接原価率の改善につながります。 例えば原価率が10%だったサロンが仕入れ価格を5%削減できれば、原価率は9.5%に改善します。

デッドストックを作らない在庫管理

在庫管理の基本は、「先入れ先出し」です。 新しく仕入れた材料を奥に入れ、古いものから使うようにします。 使用期限の管理を徹底し、期限が近いものは優先的に使用するルールを設けましょう。

月に1度は棚卸しを行い、何がどれだけあるかを把握します。 エクセルやクラウドの在庫管理ツールを使えば、デジタルで記録できて便利です。

発注のタイミングも重要です。 在庫が完全になくなってから発注すると、配送までの間に欠品してしまう可能性があります。 残量が全体の30%を切ったら発注する、といった基準を設けておきましょう。

新商品や流行の商品は、最初は小ロットで仕入れます。 実際に使ってみて、顧客の反応が良く、リピートがありそうであれば追加発注します。 話題だからといって大量に仕入れて売れ残るよりも、欠品リスクを取ってでも小ロットで試す方が賢明です。

高単価メニューの比率を上げる

原価率を下げる方法として、原価率の低いメニューの比率を上げるという発想も重要です。 カットは原価率が3%程度と非常に低いため、カット客を増やせば全体の原価率は下がります。

逆に、カラーやパーマばかりで原価率が高いなら、カットとのセットメニューを作ることで、全体の原価率を下げられます。 カット+カラーのセットメニューであれば、カラー単体よりも原価率は低くなります。

また、原価率は同じでも、価格が高いメニューを増やすことで、原価率に対する利益額は大きくなります。 材料費1,000円のメニューを8,000円で売るのと、10,000円で売るのでは、原価率は12.5%と10%で、利益額は7,000円と9,000円と大きく異なります。

高単価メニューを提案できるスタッフを育成することも、原価率管理の一環です。 カラーだけでなくトリートメントも追加提案できれば、客単価が上がり、相対的に原価率は下がります。

定期的な原価率チェックの習慣化

毎月の原価率を記録し、推移をグラフ化することで、異常値にすぐ気づけます。 通常8%前後の原価率が、ある月だけ12%に跳ね上がっていれば、何か問題が発生した可能性があります。

原因を調査すれば、「新人スタッフが材料を大量に無駄にしていた」「大量に仕入れた商品が売れずにデッドストックになった」といった問題が見つかります。 早期に発見できれば、被害を最小限に抑えられます。

また、メニュー別の原価率も定期的にチェックします。 カラーメニューの原価率が以前より上がっているなら、使用するカラー剤の種類が変わったのか、使用量が増えたのか、仕入れ価格が上がったのかを確認します。

私自身、10年以上ビジネスを運営していますが、数値を記録し続けることの重要性を痛感しています。 記録がなければ、改善したのか悪化したのかすら分かりません。 毎月5分でいいので、原価率を計算して記録する習慣をつけましょう。

美容室の原価率を適正に保つには、材料使用量の標準化、仕入れ先の見直し、在庫管理の徹底、高単価メニューの推進、定期的なチェックが有効です。

最後に、原価率だけにとらわれすぎないことも大切だという点について触れておきます。

原価率だけでなく粗利益額で判断することも大切

原価率の管理は重要ですが、原価率を下げることだけを目標にすると、本質を見失うことがありますが、最終的に大切なのは、粗利益額、つまり実際に手元に残るお金の額です。

例えば、原価率5%のカットメニュー5,000円と、原価率10%のカラーメニュー10,000円を比較してみましょう。 原価率だけ見ればカットの方が優秀ですが、粗利益額を計算すると、カットは4,750円、カラーは9,000円となり、カラーの方が圧倒的に利益額が大きいです。

原価率が多少高くても、高単価メニューであれば十分な利益を確保できます。 むしろ、原価率を気にしすぎて安い材料ばかり使うと、技術の質が下がり、顧客満足度の低下につながる可能性もあります。

高品質なトリートメント剤を使えば原価率は上がりますが、その分顧客の満足度が上がり、リピート率が向上すれば、長期的には利益が増えます。 目先の原価率よりも、顧客生涯価値(LTV)を高めることを考えるべきです。

また、材料費をケチりすぎてスタッフのモチベーションが下がることも避けなければなりません。 「良い材料を使って良い仕事をしたい」というスタッフの意欲を削ぐような過度なコストカットは、技術力の低下を招きます。

原価率は5〜10%という目安を意識しつつも、それが絶対的な基準ではないことを理解しておきましょう。 メニュー構成、ターゲット顧客層、店舗のコンセプトによって、最適な原価率は異なります。

高級志向のサロンであれば、高品質な材料を使うため原価率は12%程度になることもあります。 しかし、それに見合った価格設定ができていて、十分な利益額が確保できていれば問題ありません。

逆に、低価格帯のサロンでは、原価率を5%以下に抑えることで薄利多売のビジネスモデルを成立させています。

重要なのは、自店のビジネスモデルに合った原価率を設定し、それを維持する仕組みを作ることです。 原価率の数字に一喜一憂するのではなく、その背景にある材料の使い方、価格設定、利益構造を総合的に理解し、改善し続けることが、健全な美容室経営につながります。

まずは現状の原価率を正確に把握することから始めてください。 そして、今回紹介した方法の中から実践できるものを一つずつ取り入れ、少しずつ改善していきましょう。 小さな改善の積み重ねが、やがて大きな利益の差となって現れるはずです。