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税理士の廃業率は高い?開業後に生き残るための条件と失敗する理由

地域ビジネス

税理士として独立開業を考えているものの、実際にどれくらいの割合が事業を続けられているのか気になる方は多いでしょう。

開業しても、顧客を獲得できずに廃業してしまうケースは決して珍しくありません。

せっかく難関試験を突破して資格を取得しても、開業後に失敗してしまえば意味がありません。

開業前に経営の実態や失敗する理由を知っておくことで、リスクを最小限に抑えた独立が可能になります。

この記事では税理士の廃業率の実態から、廃業する主な理由、リスクが高い税理士の特徴、そして生き残るための具体的な戦略まで詳しく解説します。

税理士の廃業率は?

税理士の廃業率は正確な統計データは公表されていないものの、開業後5年以内で約30〜40%が廃業すると推定されています。

これは一般的な起業の廃業率とほぼ同水準であり、税理士という国家資格を持っていても、開業すれば誰もが成功できるわけではないことを示しています。 特に開業直後の3年間は最も厳しい時期であり、この期間を乗り越えられるかが生き残りの分かれ目となります。

開業後3年以内の廃業率

開業後3年以内の廃業率は約20〜30%と推定されます。 この時期は、顧問先の獲得が思うように進まず、収入が安定しないことが最大の課題です。

開業したからといってすぐに顧客が集まるわけではありません。 営業活動をしても契約に至らない、紹介が思ったより来ない、といった現実に直面します。

開業資金が底をつき、生活費も稼げない状態が続くと、廃業せざるを得なくなります。 貯金を切り崩しながら何とか持ちこたえても、3年目で力尽きるケースが多いのです。

また、勤務税理士時代とのギャップに苦しむ人も多いです。 勤務時代は税務の実務に集中できましたが、開業すると営業、経理、総務など、すべてを自分でこなす必要があります。 この負担に耐えられず、早々に勤務税理士に戻る人もいます。

開業後5年での廃業率

開業後5年まで視野を広げると、廃業率は30〜40%程度まで上昇します。 3年を乗り越えても、その後の2年で新たに10%程度が廃業していく計算です。

5年目あたりで廃業する理由は、既存顧問先の解約や廃業による収入減少が多いです。 せっかく獲得した顧客が、競合に奪われたり、倒産してしまったりすることで、売上が大きく落ち込みます。

また、新規顧客の獲得が止まってしまうことも原因です。 開業当初は知人や紹介で何とか顧客を獲得できても、その後の継続的な営業活動を怠ると、顧客は増えません。 既存顧客が減り、新規顧客が増えない状況では、事業を維持できなくなります。

一方で、5年を乗り越えた税理士は比較的安定します。 顧問先が20〜30件程度まで増え、口コミや紹介による新規獲得も軌道に乗るためです。

他の士業と比較した廃業率

税理士の廃業率は、他の士業と比較してどうでしょうか。

弁護士の廃業率も同程度かやや高いと言われています。 特に独立開業する弁護士の増加により、競争が激化しており、十分な依頼を獲得できない弁護士が増えています。

司法書士や行政書士も、開業後5年以内の廃業率は30%程度と推定されます。 これらの士業も、資格を持っているだけでは顧客を獲得できず、営業力が問われる時代になっています。

社会保険労務士は、比較的廃業率が低いと言われています。 企業の労務管理は継続的に必要とされるため、一度顧問契約を結べば長期的な関係が築きやすいためです。

全体として、士業の廃業率は一般的なビジネスとほぼ同じであり、資格があっても経営能力がなければ生き残れない時代になっています。

税理士の廃業率は開業後5年以内で30〜40%と推定され、特に最初の3年間が最も厳しい時期となります。

では、具体的にどのような理由で税理士は廃業してしまうのでしょうか。

税理士が廃業する5つの主な理由

税理士が廃業に至る背景には、いくつかの共通した理由があります。

顧問先を獲得できない

最も多い廃業理由が、そもそも顧問先を十分に獲得できないことです。

開業したものの、どうやって顧客を見つければ良いのか分からず、営業活動もうまくいかない。 ホームページを作っても問い合わせが来ない、異業種交流会に参加しても契約に至らない。 こうした状況が続くと、収入がゼロに近い状態が続きます。

特に営業経験のない税理士は、顧客獲得に苦戦します。 勤務税理士時代は営業をしたことがなく、開業後に初めて営業活動をする人が大半です。 いくら税務の知識があっても、それを顧客に伝え、契約に結びつける能力がなければ意味がありません。

また、価格設定を間違えることも失敗の原因です。 安く設定しすぎると利益が出ず、高く設定しすぎると契約が取れません。 適正な価格で、かつ納得してもらえる価値を提供できるかが鍵となります。

既存顧問先の解約や廃業

一度獲得した顧問先も、永久に続くわけではありません。 顧客企業の倒産、解約、他の税理士への乗り換えなど、様々な理由で顧問先は減っていきます。

特に中小企業は倒産リスクが高く、せっかくの顧問先が突然なくなることもあります。 コロナ禍では、飲食店や観光業など、特定業種の顧客を多く抱えていた税理士が大きな打撃を受けました。

また、顧客の不満による解約もあります。 レスポンスが遅い、アドバイスが的確でない、コミュニケーションが取りにくいといった理由で、他の税理士に乗り換えられます。 一度信頼を失うと、関係を修復するのは困難です。

さらに、顧問報酬の値上げ交渉に失敗して解約されることもあります。 何年も同じ料金で据え置いていたが、物価上昇や業務量増加を理由に値上げを申し出たところ、受け入れられずに契約終了となるケースです。

既存顧客が減る一方で、新規顧客の獲得が追いつかなければ、事業は縮小していきます。

競争激化による価格競争

税理士の数は年々増加しており、競争が激しくなっています。 2024年時点で税理士登録者数は約8万人を超え、今後も増加が続くと予想されています。

競争が激化すると、価格競争に巻き込まれます。 「月額1万円で顧問契約」「記帳代行無料」といった低価格を売りにする税理士が現れると、相場が崩れます。

低価格で顧客を獲得しても、利益率が低いため、多くの顧客を抱えなければ生活できません。 しかし、顧客が増えれば業務量も増え、質の低下を招きます。 結果として顧客満足度が下がり、解約されるという悪循環に陥ります。

また、クラウド会計ソフトの普及により、税理士に依頼せずに自分で申告する個人事業主やフリーランスも増えています。 簡単な確定申告であれば、税理士なしでもできる時代になったのです。

付加価値を提供できない税理士は、淘汰されていく厳しい時代です。

健康問題や高齢化

税理士業界は高齢化が進んでおり、健康上の理由で廃業するケースも増えています。

税理士の平均年齢は60歳を超えており、70代、80代で現役を続ける税理士も少なくありません。 しかし、体力的な限界や病気により、業務を続けられなくなることがあります。

また、繁忙期の長時間労働が健康を害することもあります。 確定申告シーズンに連日深夜まで働き、過労で体調を崩してしまう。 一度健康を損なうと、以前のように働けなくなり、廃業を選択せざるを得ません。

後継者がいれば事務所を引き継げますが、後継者不足も深刻な問題です。 若手税理士は独立志向が強く、他人の事務所を継ぐより自分で開業したいと考える人が多いためです。

モチベーションの低下

経済的な理由だけでなく、精神的な理由で廃業するケースもあります。

顧客からのクレームや無理な要求に疲弊し、仕事へのモチベーションを失う。 営業活動がうまくいかず、自信を喪失する。 孤独な開業税理士生活に耐えられなくなる。

特に、理想と現実のギャップに苦しむ人が多いです。 「開業すれば自由に働ける」と思っていたが、実際は営業や事務作業に追われる。 「顧客から感謝される仕事」だと思っていたが、クレームばかりで報われない。

こうした精神的な疲労が蓄積すると、「もう辞めたい」という気持ちが強くなります。 収入が十分あっても、心が折れてしまえば続けられません。

税理士が廃業する主な理由は、顧問先を獲得できない、既存顧客の解約や廃業、競争激化による価格競争、健康問題や高齢化、モチベーションの低下という5つです。

それでは、どのような税理士が廃業リスクが高いのか、その特徴を見ていきましょう。

廃業リスクが高い税理士の特徴

廃業する税理士には、いくつかの共通した特徴があります。

営業活動をしない

最も大きな特徴が、営業活動を怠ることです。

「良い仕事をしていれば自然と顧客は増える」と考え、積極的な営業をしない税理士は、新規顧客を獲得できません。 既存顧客からの紹介だけに頼っていると、紹介が途絶えたときに新規獲得の手段がなくなります。

ホームページも作らない、SNSも使わない、異業種交流会にも参加しない。 こうした税理士は、時代の変化についていけず、徐々に淘汰されていきます。

営業が苦手だからという理由で避けていても、開業税理士である以上、営業は必須の業務です。 営業活動を継続的に行う習慣がない税理士は、廃業リスクが高いです。

専門性や差別化ポイントがない

「何でもできます」という税理士は、逆に何も選ばれません。

専門分野がなく、他の税理士との違いが明確でないと、価格だけで比較されてしまいます。 「安い税理士」として選ばれても、さらに安い税理士が現れたら乗り換えられます。

相続税専門、医療専門、飲食店専門など、明確な専門性を持つことで、その分野では競合優位に立てます。 専門性がない税理士は、価格競争に巻き込まれやすく、廃業リスクが高まります。

また、自分の強みを言語化できていないことも問題です。 「なぜあなたに依頼すべきなのか」を明確に説明できなければ、顧客は契約の決断ができません。

ITツールを活用できていない

時代の変化に対応できず、従来のやり方にこだわる税理士も危険です。

クラウド会計ソフトを使いこなせない、電子申告を避ける、紙の資料にこだわるといった姿勢は、業務効率を大きく下げます。 効率が悪いと、多くの顧客を抱えられず、収入が伸びません。

また、顧客もITリテラシーが高まっており、クラウド会計を使いたいと考えています。 それに対応できない税理士は、顧客から敬遠されます。

ホームページやSNSでの情報発信もできていない税理士は、新規顧客に見つけてもらえません。 今の時代、ネット上で情報を得られない税理士は、存在しないのと同じです。

開業資金が不足している

開業時の資金準備が不十分な税理士も、廃業リスクが高いです。

開業後すぐに十分な収入が得られるとは限りません。 最低でも半年分、できれば1年分の生活費と事業経費を用意しておく必要があります。

資金が不足すると、焦って低単価の顧客を獲得してしまい、後々の経営を圧迫します。 また、営業活動や広告宣伝にお金をかけられず、顧客獲得が進みません。

適切な設備投資もできず、業務効率が上がらない。 こうした悪循環に陥ると、廃業への道を進むことになります。

廃業リスクが高い税理士の特徴は、営業活動をしない、専門性や差別化ポイントがない、ITツールを活用できていない、開業資金が不足しているという点です。

それでは、これらのリスクを回避し、生き残るためにはどうすれば良いのでしょうか。

税理士開業で生き残るための5つの戦略

廃業せずに長く事業を続けるには、戦略的な取り組みが必要です。

開業前から顧問先候補を確保する

最も重要なのは、開業前から顧客候補を確保しておくことです。

勤務税理士時代に築いた人脈を活用し、開業後に顧問契約を結べる見込み客をリストアップしておきましょう。 前職の所長と円満に話し合い、数件の顧問先を引き継がせてもらえれば理想的です。

また、開業前から異業種交流会やセミナーに参加し、将来の顧客となりうる経営者とのつながりを作っておくことも有効です。 名刺交換だけでなく、定期的に連絡を取り、信頼関係を築いておきましょう。

知人や友人の中で起業を考えている人がいれば、開業したらぜひ相談してほしいと伝えておきます。 開業のタイミングで顧問契約を結べる可能性があります。

開業初月から顧問先がゼロという状況を避けることが、精神的にも経済的にも重要です。 最低でも5〜10件の顧問先を確保してから開業することを目標にしましょう。

専門分野を持ち差別化する

生き残るには、明確な専門分野を持つことが不可欠です。

相続税、国際税務、医療、飲食、不動産、ITなど、自分が興味を持てる分野を一つ選び、その分野のスペシャリストを目指しましょう。 専門分野を決めたら、その分野に関する知識を深め、ブログやSNSで情報発信を行います。

専門分野を持つことで、「○○ならこの税理士」という認知を得られます。 その分野からの紹介が増え、高単価での契約も可能になります。

ただし、専門を絞りすぎると市場が小さくなるリスクもあります。 「医療専門だが、他業種も対応可能」といった柔軟性も持っておくと良いでしょう。

専門分野を持つことは、価格競争から脱却する最も効果的な方法です。

継続的な営業活動を習慣化する

開業税理士にとって、営業は業務の一部です。

毎月一定数の新規見込み客と面談する習慣をつけましょう。 目安としては、月に3〜5件の新規面談を設定し、そのうち1〜2件を契約に結びつけることを目標とします。

ウェブからの問い合わせを増やすために、ホームページの充実やSEO対策、ブログの更新も継続的に行います。 税務に関する有益な情報を発信することで、専門性をアピールでき、信頼感も高まります。

金融機関、保険代理店、不動産会社、他士業などとの連携も重要です。 定期的に訪問し、関係を維持することで、紹介を受けられる仕組みを作ります。

既存顧問先に対しても、知り合いの経営者を紹介してもらえないか依頼しましょう。 満足している顧客は喜んで紹介してくれることが多いです。

営業活動を止めた瞬間、新規顧客の獲得も止まります。 継続的に営業し続けることが、生き残りの絶対条件です。

業務効率化でコストを抑える

業務効率を上げることで、少ない顧問先数でも十分な利益を確保できます。

クラウド会計ソフトを活用すれば、記帳代行の作業時間を大幅に削減できます。 銀行口座やクレジットカードと連携して自動で仕訳を作成できるため、手入力の手間が省けます。

定型業務はマニュアル化し、パートスタッフに任せることも検討しましょう。 税理士にしかできない業務に集中することで、より多くの顧客に対応できます。

また、事務所の家賃を抑えることも重要です。 自宅を事務所とすれば、家賃は不要です。 顧客との面談は、顧客の事務所や近くのカフェで行えば問題ありません。

固定費を抑え、変動費を最小化することで、少ない売上でも利益を確保できる体制を作りましょう。

複数の収入源を持つ

顧問契約だけに依存せず、複数の収入源を持つことでリスクを分散できます。

相続税申告、事業承継支援、M&Aアドバイザリーなど、スポット業務を積極的に受注しましょう。 これらは1件あたりの報酬が高く、顧問契約が少なくても収入を補えます。

また、セミナー講師や執筆活動で収入を得ることも可能です。 自分の専門分野に関するセミナーを開催したり、税務関連の記事を執筆することで、報酬を得られます。

これらの活動は、自分の専門性をアピールする機会にもなり、新規顧客の獲得にもつながります。

私自身、10年以上ビジネスを運営していますが、収入源を多様化することでリスクを軽減できることを実感しています。 一つの収入源に依存しない経営が、長期的な安定につながります。

税理士開業で生き残るには、開業前からの顧客確保、専門分野の確立、継続的な営業活動、業務効率化、複数の収入源を持つという5つの戦略が重要です。

最後に、税理士市場の現状と今後の見通しについて触れておきましょう。

税理士市場の現状と今後の見通し

税理士市場は、今後さらに厳しい競争環境になると予想されます。

税理士の登録者数は増加を続けており、2024年時点で約8万人を超えています。 一方で、中小企業の数は減少傾向にあり、顧客の奪い合いが激化しています。

また、AI技術やクラウド会計ソフトの発展により、記帳代行や簡単な申告書作成は自動化が進んでいます。 これまで税理士の主要な収入源だった基本的な業務が、AI に代替される時代が来ています。

こうした環境変化により、付加価値の低い税理士は淘汰されていくでしょう。 単なる記帳代行や申告書作成だけでは、生き残れない時代になっています。

一方で、高度な専門性を持ち、経営コンサルティングができる税理士の需要は高まっています。 相続税、国際税務、事業承継、M&Aなど、専門的な知識が必要な分野では、優秀な税理士が不足しています。

また、経営者は単なる税務処理だけでなく、経営全般のアドバイスを求めています。 財務分析、資金調達支援、経営計画の策定など、コンサルティング能力を持つ税理士は重宝されます。

今後の税理士市場で生き残るには、専門性の向上、コンサルティング能力の強化、AIツールの活用が不可欠です。 変化に対応できる柔軟性を持ち、継続的に学び続ける姿勢が求められます。

廃業率が高いという現実を直視しつつも、適切な戦略を持って開業すれば、成功の可能性は十分にあります。 開業前の準備を怠らず、営業活動を継続し、専門性を磨き続けることで、長く事業を続けられるでしょう。

税理士の廃業率は開業後5年以内で30〜40%と推定され、顧問先を獲得できない、既存顧客の解約、競争激化などが主な理由です。 生き残るには、開業前からの顧客確保、専門分野の確立、継続的な営業活動、業務効率化、複数の収入源の確保が重要となります。 厳しい競争環境ではありますが、適切な戦略を持って取り組めば、税理士として長く成功することは十分に可能です。