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税理士の廃業率は?業種別1位の実態と生き残る5つの戦略について

地域ビジネス

税理士として独立開業を考えているものの、税理士の廃業率が実際にどれくらいなのか気になる方は多いでしょう。

開業しても顧客を獲得できずに廃業してしまうケースは決して珍しくなく、せっかく難関試験を突破して資格を取得しても開業後に失敗してしまえば意味がありません。

開業前に経営の実態や失敗する理由を知っておくことで、リスクを最小限に抑えた独立が可能になります。

この記事では、税理士の廃業率の実態・業種別1位になった背景・廃業する主な理由・リスクが高い税理士の特徴・生き残るための具体的な戦略まで解説します。

税理士の廃業率は?

税理士の廃業率は正確な統計データは公表されていないものの、開業後5年以内で約30〜40%が廃業すると推定されており、帝国データバンクが公表する年間廃業率(5.61%)とは別の指標であることを正しく理解しておく必要があります。

「税理士の廃業率」としてサイトによって数字がバラバラなのは、「開業後の累積廃業率」と「年間廃業率」という2つの異なる指標が混在しているためです。

税理士という国家資格を持っていても開業すれば誰もが成功できるわけではなく、特に開業直後の3年間は最も厳しい時期であり、この期間を乗り越えられるかが生き残りの分かれ目となります。

開業後3年以内の廃業率

開業後3年以内の廃業率は約20〜30%と推定されます。

この時期は顧問先の獲得が思うように進まず、収入が安定しないことが最大の課題です。

開業したからといってすぐに顧客が集まるわけではなく、営業活動をしても契約に至らない・紹介が思ったより来ないといった現実に直面します。

開業資金が底をつき生活費も稼げない状態が続くと廃業せざるを得なくなり、貯金を切り崩しながら何とか持ちこたえても3年目で力尽きるケースが多いです。

また勤務税理士時代とのギャップに苦しむ人も多く、開業すると営業・経理・総務などすべてを自分でこなす必要があります。

この負担に耐えられず早々に勤務税理士に戻る人もいます。

開業後5年での廃業率

開業後5年まで視野を広げると、廃業率は30〜40%程度まで上昇します。

3年を乗り越えても、その後の2年で新たに10%程度が廃業していく計算です。

5年目あたりで廃業する理由は既存顧問先の解約や廃業による収入減少が多く、せっかく獲得した顧客が競合に奪われたり倒産してしまったりすることで売上が大きく落ち込みます。

また開業当初は知人や紹介で何とか顧客を獲得できても、その後の継続的な営業活動を怠ると顧客は増えません。

既存顧客が減り新規顧客が増えない状況では、事業を維持できなくなります。

一方で5年を乗り越えた税理士は比較的安定し、顧問先が20〜30件程度まで増え口コミや紹介による新規獲得も軌道に乗るためです。

他の士業と比較した廃業率

税理士の廃業率は、他の士業と比較してどうでしょうか。

弁護士の廃業率も同程度かやや高いと言われており、特に独立開業する弁護士の増加により競争が激化し十分な依頼を獲得できない弁護士が増えています。

司法書士や行政書士も開業後5年以内の廃業率は30%程度と推定され、これらの士業も資格を持っているだけでは顧客を獲得できず営業力が問われる時代になっています。

社会保険労務士は比較的廃業率が低いと言われており、企業の労務管理は継続的に必要とされるため一度顧問契約を結べば長期的な関係が築きやすいためです。

全体として士業の廃業率は一般的なビジネスとほぼ同じであり、資格があっても経営能力がなければ生き残れない時代になっています。

このように、税理士の廃業率は開業後5年以内で30〜40%と推定され、特に最初の3年間が最も厳しい時期となります。

次は、税理士の廃業率が業種別1位になった背景を確認します。

税理士の廃業率が「業種別1位」になった背景

帝国データバンクの調査によると2024年の業種別廃業率で税理士事務所が5.61%と全業種中1位となり、2023年には前年比170%増という廃業増加率でも業種別1位を記録しており、これは単なる高齢化だけでなく構造的な環境変化が重なった結果です。

この数字は年間廃業率であり開業後の累積廃業率とは異なりますが、業界全体がいかに厳しい局面にあるかを示すデータとして無視できません。

インボイス制度の導入が最初の構造的原因です。

2023年10月から始まったインボイス制度により零細事業者への対応業務が急増しましたが、作業・業務量が著しく増加したにもかかわらず顧問料に転嫁できない事務所が多く、収益性が悪化したことで「あきらめ廃業」を選ぶ税理士が増えました。

高齢化と後継者不足が2つ目の原因です。

税理士の平均年齢は60歳を超えており体力的・健康上の理由による廃業が一定数ある中で、若手税理士は独立志向が強く他人の事務所を継ぐより自分で開業したいと考える人が多いため後継者不足が深刻化しています。

競争激化と顧問料の低下が3つ目の原因です。

税理士登録者数は2024年時点で約8万人を超え、クラウド会計ソフトの普及により記帳代行や簡単な申告書作成の自動化が進んだことで付加価値の低い業務の顧問料が下落し、従来型のビジネスモデルでは収益を維持できなくなっています。

このように、税理士の廃業率が業種別1位になった背景はインボイス制度・高齢化と後継者不足・競争激化という3つの構造的原因が同時に重なった結果であり、この構造を理解した上で対策を立てることが生き残りの前提になります。

次は、税理士が廃業する5つの主な理由を確認します。

税理士が廃業する5つの主な理由

税理士が廃業に至る背景には、顧問先を獲得できない・既存顧客の解約や廃業・競争激化による価格競争・健康問題や高齢化・モチベーションの低下という5つの共通した理由があります。

これらの問題が複合的に絡み合うことで経営が立ち行かなくなり、廃業を余儀なくされます。

理由1:顧問先を獲得できない

最も多い廃業理由が、そもそも顧問先を十分に獲得できないことです。

開業したものの、どうやって顧客を見つければ良いのか分からず、営業活動もうまくいきません。

ホームページを作っても問い合わせが来ない・異業種交流会に参加しても契約に至らないという状況が続くと、収入がゼロに近い状態が続きます。

特に営業経験のない税理士は顧客獲得に苦戦し、いくら税務の知識があってもそれを顧客に伝え契約に結びつける能力がなければ意味がありません。

また価格設定を間違えることも失敗の原因で、安く設定しすぎると利益が出ず高く設定しすぎると契約が取れません。

適正な価格でかつ納得してもらえる価値を提供できるかが鍵となります。

理由2:既存顧問先の解約や廃業

一度獲得した顧問先も、永久に続くわけではありません。

顧客企業の倒産・解約・他の税理士への乗り換えなど、様々な理由で顧問先は減っていきます。

特に中小企業は倒産リスクが高く、せっかくの顧問先が突然なくなることもあります。

コロナ禍では飲食店や観光業など特定業種の顧客を多く抱えていた税理士が大きな打撃を受けました。

また顧客の不満による解約もあり、レスポンスが遅い・アドバイスが的確でない・コミュニケーションが取りにくいといった理由で他の税理士に乗り換えられます。

一度信頼を失うと関係を修復するのは困難で、既存顧客が減る一方で新規顧客の獲得が追いつかなければ事業は縮小していきます。

理由3:競争激化による価格競争

税理士の数は年々増加しており、競争が激しくなっています。

2024年時点で税理士登録者数は約8万人を超え、今後も増加が続くと予想されています。

競争が激化すると価格競争に巻き込まれ、「月額1万円で顧問契約」「記帳代行無料」といった低価格を売りにする税理士が現れると相場が崩れます。

低価格で顧客を獲得しても利益率が低いため多くの顧客を抱えなければ生活できず、顧客が増えれば業務量も増え質の低下を招きます。

結果として顧客満足度が下がり解約されるという悪循環に陥ります。

またクラウド会計ソフトの普及により税理士に依頼せずに自分で申告する個人事業主やフリーランスも増えており、付加価値を提供できない税理士は淘汰されていく厳しい時代です。

理由4:健康問題や高齢化

税理士業界は高齢化が進んでおり、健康上の理由で廃業するケースも増えています。

税理士の平均年齢は60歳を超えており、70代・80代で現役を続ける税理士も少なくありません。

しかし体力的な限界や病気により業務を続けられなくなることがあります。

また繁忙期の長時間労働が健康を害することもあり、確定申告シーズンに連日深夜まで働き過労で体調を崩してしまうケースも珍しくありません。

一度健康を損なうと以前のように働けなくなり、廃業を選択せざるを得ません。

後継者がいれば事務所を引き継げますが後継者不足も深刻な問題で、若手税理士は独立志向が強く他人の事務所を継ぐより自分で開業したいと考える人が多いためです。

理由5:モチベーションの低下

経済的な理由だけでなく、精神的な理由で廃業するケースもあります。

顧客からのクレームや無理な要求に疲弊して仕事へのモチベーションを失う・営業活動がうまくいかず自信を喪失する・孤独な開業税理士生活に耐えられなくなるという問題があります。

特に理想と現実のギャップに苦しむ人が多く、「開業すれば自由に働ける」と思っていたが実際は営業や事務作業に追われ、「顧客から感謝される仕事」だと思っていたがクレームばかりで報われないというケースが典型的です。

こうした精神的な疲労が蓄積すると「もう辞めたい」という気持ちが強くなり、収入が十分あっても心が折れてしまえば続けられません。

このように、税理士が廃業する主な理由は顧問先を獲得できない・既存顧客の解約や廃業・競争激化による価格競争・健康問題や高齢化・モチベーションの低下という5つです。

次は、廃業リスクが高い税理士の特徴を確認します。

廃業リスクが高い税理士の特徴

廃業する税理士には、営業活動をしない・専門性や差別化ポイントがない・ITツールを活用できていない・開業資金が不足しているという共通した特徴があります。

これらの特徴が複数当てはまる場合、廃業リスクは非常に高いと言えます。

特徴1:営業活動をしない

最も大きな特徴が、営業活動を怠ることです。

「良い仕事をしていれば自然と顧客は増える」と考え積極的な営業をしない税理士は、新規顧客を獲得できません。

既存顧客からの紹介だけに頼っていると紹介が途絶えたときに新規獲得の手段がなくなります。

ホームページも作らない・SNSも使わない・異業種交流会にも参加しないという税理士は時代の変化についていけず、徐々に淘汰されていきます。

営業が苦手だからという理由で避けていても開業税理士である以上営業は必須の業務であり、営業活動を継続的に行う習慣がない税理士は廃業リスクが高いです。

特徴2:専門性や差別化ポイントがない

「何でもできます」という税理士は、逆に何も選ばれません。

専門分野がなく他の税理士との違いが明確でないと価格だけで比較されてしまい、「安い税理士」として選ばれてもさらに安い税理士が現れたら乗り換えられます。

相続税専門・医療専門・飲食店専門など明確な専門性を持つことで、その分野では競合優位に立てます。

また「なぜあなたに依頼すべきなのか」を明確に説明できなければ顧客は契約の決断ができず、専門性がない税理士は価格競争に巻き込まれやすく廃業リスクが高まります。

特徴3:ITツールを活用できていない

時代の変化に対応できず、従来のやり方にこだわる税理士も危険です。

クラウド会計ソフトを使いこなせない・電子申告を避ける・紙の資料にこだわるといった姿勢は業務効率を大きく下げ、効率が悪いと多くの顧客を抱えられず収入が伸びません。

また顧客もITリテラシーが高まっておりクラウド会計を使いたいと考えているため、それに対応できない税理士は顧客から敬遠されます。

ホームページやSNSでの情報発信もできていない税理士は新規顧客に見つけてもらえず、今の時代ネット上で情報を得られない税理士は存在しないのと同じです。

特徴4:開業資金が不足している

開業時の資金準備が不十分な税理士も、廃業リスクが高いです。

開業後すぐに十分な収入が得られるとは限らず、最低でも半年分できれば1年分の生活費と事業経費を用意しておく必要があります。

資金が不足すると焦って低単価の顧客を獲得してしまい後々の経営を圧迫し、営業活動や広告宣伝にお金をかけられず顧客獲得が進みません。

適切な設備投資もできず業務効率が上がらないという悪循環に陥ると、廃業への道を進むことになります。

このように、廃業リスクが高い税理士の特徴は営業活動をしない・専門性や差別化ポイントがない・ITツールを活用できていない・開業資金が不足しているという4点であり、自院がどれに当てはまるかを確認することが改善の出発点です。

次は、生き残るための5つの戦略を確認します。

税理士開業で生き残るための5つの戦略

廃業せずに長く事業を続けるには、開業前からの顧問先確保・専門分野の確立・継続的な営業活動の習慣化・業務効率化・複数の収入源という5つの戦略が重要です。

これらを実践することで開業後の厳しい時期を乗り越え、安定した経営を実現できます。

戦略1:開業前から顧問先候補を確保する

最も重要なのは、開業前から顧客候補を確保しておくことです。

勤務税理士時代に築いた人脈を活用し開業後に顧問契約を結べる見込み客をリストアップしておきましょう。

前職の所長と円満に話し合い数件の顧問先を引き継がせてもらえれば理想的です。

また開業前から異業種交流会やセミナーに参加し将来の顧客となりうる経営者とのつながりを作っておくことも有効で、名刺交換だけでなく定期的に連絡を取り信頼関係を築いておきましょう。

知人や友人の中で起業を考えている人がいれば開業したらぜひ相談してほしいと伝えておき、開業のタイミングで顧問契約を結べる可能性があります。

開業初月から顧問先がゼロという状況を避けることが精神的にも経済的にも重要で、最低でも5〜10件の顧問先を確保してから開業することを目標にしましょう。

戦略2:専門分野を持ち差別化する

生き残るには、明確な専門分野を持つことが不可欠です。

相続税・国際税務・医療・飲食・不動産・ITなど自分が興味を持てる分野を一つ選び、その分野のスペシャリストを目指しましょう。

専門分野を決めたらその分野に関する知識を深め、ブログやSNSで情報発信を行います。

専門分野を持つことで「○○ならこの税理士」という認知を得られ、その分野からの紹介が増え高単価での契約も可能になります。

ただし専門を絞りすぎると市場が小さくなるリスクもあるため、「医療専門だが他業種も対応可能」といった柔軟性も持っておくと良いでしょう。

専門分野を持つことは価格競争から脱却する最も効果的な方法です。

戦略3:継続的な営業活動を習慣化する

開業税理士にとって、営業は業務の一部です。

毎月一定数の新規見込み客と面談する習慣をつけ、目安としては月に3〜5件の新規面談を設定しそのうち1〜2件を契約に結びつけることを目標とします。

ウェブからの問い合わせを増やすためにホームページの充実やSEO対策・ブログの更新も継続的に行います。

税務に関する有益な情報を発信することで専門性をアピールでき信頼感も高まります。

金融機関・保険代理店・不動産会社・他士業などとの連携も重要で、定期的に訪問し関係を維持することで紹介を受けられる仕組みを作ります。

既存顧問先に対しても知り合いの経営者を紹介してもらえないか依頼し、満足している顧客は喜んで紹介してくれることが多いです。

営業活動を止めた瞬間新規顧客の獲得も止まるため、継続的に営業し続けることが生き残りの絶対条件です。

戦略4:業務効率化でコストを抑える

業務効率を上げることで、少ない顧問先数でも十分な利益を確保できます。

クラウド会計ソフトを活用すれば記帳代行の作業時間を大幅に削減でき、銀行口座やクレジットカードと連携して自動で仕訳を作成できるため手入力の手間が省けます。

定型業務はマニュアル化してパートスタッフに任せることも検討し、税理士にしかできない業務に集中することでより多くの顧客に対応できます。

また事務所の家賃を抑えることも重要で、自宅を事務所とすれば家賃は不要です。

顧客との面談は顧客の事務所や近くのカフェで行えば問題ありません。

固定費を抑え変動費を最小化することで、少ない売上でも利益を確保できる体制を作りましょう。

戦略5:複数の収入源を持つ

顧問契約だけに依存せず、複数の収入源を持つことでリスクを分散できます。

相続税申告・事業承継支援・M&Aアドバイザリーなどスポット業務を積極的に受注しましょう。

これらは1件あたりの報酬が高く、顧問契約が少なくても収入を補えます。

またセミナー講師や執筆活動で収入を得ることも可能で、自分の専門分野に関するセミナーを開催したり税務関連の記事を執筆することで報酬を得られます。

これらの活動は自分の専門性をアピールする機会にもなり、新規顧客の獲得にもつながります。

収入源を多様化することでリスクを軽減でき、一つの収入源に依存しない経営が長期的な安定につながります。

このように、税理士開業で生き残るには開業前からの顧客確保・専門分野の確立・継続的な営業活動・業務効率化・複数の収入源という5つを実践することが最も効果的です。

次は、税理士市場の現状と今後の見通しを確認します。

税理士市場の現状と今後の見通し

税理士市場は今後さらに厳しい競争環境になると予想され、付加価値の低い税理士は淘汰される一方で高度な専門性を持ちコンサルティングができる税理士の需要は高まっています。

税理士の登録者数は増加を続けており2024年時点で約8万人を超えている一方、中小企業の数は減少傾向にあり顧客の奪い合いが激化しています。

またAI技術やクラウド会計ソフトの発展により記帳代行や簡単な申告書作成は自動化が進んでおり、これまで税理士の主要な収入源だった基本的な業務がAIに代替される時代が来ています。

こうした環境変化により付加価値の低い税理士は淘汰されていくでしょう。

単なる記帳代行や申告書作成だけでは生き残れない時代になっています。

一方で高度な専門性を持ちコンサルティングができる税理士の需要は高まっており、相続税・国際税務・事業承継・M&Aなど専門的な知識が必要な分野では優秀な税理士が不足しています。

また経営者は単なる税務処理だけでなく経営全般のアドバイスを求めており、財務分析・資金調達支援・経営計画の策定などコンサルティング能力を持つ税理士は重宝されます。

今後の税理士市場で生き残るには専門性の向上・コンサルティング能力の強化・AIツールの活用が不可欠です。

変化に対応できる柔軟性を持ち継続的に学び続ける姿勢が求められます。

廃業率が業種別1位という現実を直視しつつも適切な戦略を持って開業すれば成功の可能性は十分にあり、開業前の準備を怠らず営業活動を継続し専門性を磨き続けることで長く事業を続けられます。

このように、税理士市場は今後さらに厳しい競争環境になると予想される一方で専門性とコンサルティング能力を持つ税理士の需要は高まっており、廃業率の実態を正しく把握した上で5つの戦略を実践することが生き残りの条件です。